ベイグラントストーリー台詞データ集3



 《枯れた霊泉の広間》

アシュレイがリリーの刻印を利用して扉を潜るところをハーディンの影が見ている。

シドニー
「…逃げさえしなければ、手荒なマネはせんよ。

キャロ
「…何をしているの?

「ふふん、ただのお絵かきさ。
…どうだ、ハーディン。

ハーディン
「すごいな…、ヤツは本当に人間か?
戦闘力はゆうに一個師団に匹敵する…。
リスクブレイカーとはここまで強いものなのか?

「違うな…。
リスクブレイカーだからじゃない。
"魔"を取り込み、"力"にしているからだよ。
…ここまでは予定どおりだ。

「…どうするつもりだ?

「どうする…って、このままオレを追い続けてもらうさ。

「何を考えているんだ、シドニー!!
聖印騎士団がこの街を占拠するのも時間の問題なんだ。
あんなヤツにかまっている場合か?
時間が迫っているんじゃなかったのか?

「そう、いらいらするな、ハーディン。
予定どおりだと言っているだろ?

「公爵が裏切ったのも、法王庁が介入したのも、
あのリスクブレイカーが化けモノのように強いのも、
みんな予定どおりだッて言うのか!!

…すまない。シドニー。

「いいんだ、ハーディン。
気にするな。

情報分析官の性か?
自分の行く末よりも我々のことが気になるようだな。

「…いったい、あなたは何をしようというの?

「きみの友人のためにディナーを用意しているのさ。

罪深き血族との契約により…

シドニー、魔法陣からモンスターを召喚。

キャロの目の前に幼い金髪の子供の幻影が現れる。

父さんを助けたいの。

アシュレイ、何かを感じ取る。

アシュレイ
「……メルローズ?


 《市街地・レイン海岸通り》

デュエイン
「どうだ?」

聖印騎士
「ただの工房でした。
他は何もありません。

「3班との連絡が途絶えました。

「全滅か…?

「そ、その……

「死体すら確認できんか…。

「も、申し訳ありません。

デュエイン、聖印騎士の顔をはたく。

「この臆病者め。
聖印騎士の名折れだぞ…。

「まぁ、仕方あるまい。
全滅した奴等もそれまでの命運だったということ。
探せ!
メレンカンプのやつらが使っている"抜け道"がどこかにあるはずだ!
徹底的に探すのだッ!

「ハッ。

「まったく、くそったれな街だ……。


 《市街地・ティコラス川》

グリッソム
「今ならまだあなたを助けることができます。
シドニーの居場所を素直に教えたらどうです?

メレンカンプ戦士
「…誰に向かってものを……言っている?
きさまたちが"魔"を支配できるとでも……?

「私達は"神"に仕える僧侶ですよ。
"魔"を"支配する"のではなく、"浄化する"ためにここへ来たのです。

戦士、グリッソムの顔に唾棄。
グリッソム、顔を拭って六十字を切ると、いきなり戦士の髪を掴んで壁に叩き付ける。

「さぁ、"神"に赦しをを請うのです。
今ならまだ間に合う。
私が神の"代理人"としてあなたの罪を赦しましょう。

「…地獄へ堕ちろ。

戦士、絶命。塵となって消える。

ギルデンスターン
「これが"魔"にかかわった者の末路なのだ。

サマンサ
「どういうこと?

「"魔"とは実体のないパワーだが、風邪や黒死病のように、本人の
気付かぬうちに身体を冒していく。
だが、冒されたものは"不死"を手にすることができる。

「不死……?

「ああ、そうだ、"不死"だ。

「でも…、彼は死んだわ。
塵となって…、何も残さずに消えたわ。
そうでしょ?

「死とは何だ?
肉体が滅びることか?
確かにそれも死だ。
だが、それは事実の一面にすぎん。
本当の死とは、魂自身が滅びることだ。

「では、彼らは死んでいないと?

「"魔"に冒されたものは肉体が滅びようとも魂は永遠にこの世を
さまようことになる。
レアモンデにおける"不死"とは"死に至らない"ということではない。
"不完全な死"なのさ。

アシュレイ
「不完全な"死"…。

「成仏できんやつらは"生"がうらやましい。

グリッソム、再び六十字を切る。

「だから、魂を失った肉体を見つけるとすぐに入り込もうとする。
"生きる屍"の誕生というわけだ。
肉体を失った状態でこの世をさまようのはとてもつらいことのようだな……。

「グリッソム。
生き残った部隊を再編しろ。
ティーガーの部隊と合流して、メレンカンプの信者どもをせん滅するのだ。

「仰せのままに。

「…私もああなるの?

「死にやしないさ。
それに…

「それに?

「真の"不死"を手にした者がいる…。
我々の狙いはそれだ。

「…シドニーを捜しましょう。

「法王庁の狙いは"完全なる不死"か…。

デュエイン
「そうだ。
だが、貴様には必要のないものだ。
VKPの殺し屋には"不完全な死"で十分だ。

「ば…、ばかな……。
こんなところで…やられるなんて……。

アシュレイが振り返ると、ギルデンスターンの影と目が合う。


 《街を囲む外壁・剣豪の死を見届けた階段》

廃坑に降りていくアシュレイを謎の人物が見ている。


 《廃坑第1階層・裏切り者との別れの坑道》

オーガ戦の後、アシュレイの感覚はキャロとリンクする。

シドニー
「どうだ?…奴らは?

(キャロを見て)不思議か?

キャロ
「ええ…。
そう……。"不思議"だわ。
あなたたちは、その…、なんていうか……。

シドニー、指を立てて振る。

ハーディン
「やつらは……、部隊を3つに固めたようだ。
被害が甚大で……、戦力を分散させることによるリスクにようやく気付いたみたいだな。
特に、昨夜潜入した部隊よりも今朝の本隊の方が混乱している……。

シドニー、キャロに向かって歩く。

「昨夜の部隊は事態を性格に把握した精鋭だが、後続の連中はとりあえずかき集められた兵士なのさ。
ギルデンスターンは、グレイランドでオレたちを捕捉できると思っていたんだろう。
だが、そう簡単にはこちらも捕まらない……。

「喜んではいられないな。
こちらは聖印騎士団以上の被害だ。
やつらのせいで、制御を失った"馬"どもが飼い主に逆らっているんだ。
地上が制圧されるのも時間の問題だぞ。どうする?

「オレたちは尊い仲間の命を犠牲にしているな。
だが、無駄にはさせん。
そうだろ、ハーディン。

「やつらは"馬"を制御できるんだぞ?なぜだ?

「全部じゃない。
ごく一部の連中さ。

「オレたちだけじゃなかったのか、飼い主は?
裏切り者でもいるんじゃないのか?

「このときのために準備していたのさ、法王庁は。
20年もの間、じっと息を潜めてな。

「考えてもみろ!
公爵邸占拠も留守を見計らっての潜入だぞ!
誰かがもらしたとしか思えんッ!

「いいから、少しは落ち着けよ、ハーディン。

「もうダメだ、失敗だ。
このままじゃ、おれたちも命を失うぞ。
逃げよう、シドニー!!

「落ち着けと言っているッ!!
このオレが大丈夫だと言っているんだ。
わかるな?ハーディン。
すべて、大丈夫だ。

ハーディン、尻餅をつく。

「オレとおまえは親友だ。
そうだよな、ハーディン。
オレを信じるんだ。

「ああ、そうだ。
……親友だ。

「おまえはこの情報分析官殿を連れて、先へ行ってくれ。
手荒なマネをするなよ。

「……おまえは?

「ギルデンスターンに挨拶でもしてくるさ。心配するな。
できるだけ"刻印"でロックするんだ。
やつらが解除を学習するには時間が必要だからな。

「シドニー。
…親友だったら、オレにおまえの"意識"を押しつけるな。
いいか、二度とするなよ!

キャロの前に幼い金髪の子供の幻影が現れる。

…彼は死ぬつもりなんだ。

「こっちだ。早く来い。

アシュレイ
「……メルローズ。

アシュレイの背後に謎の人物、ローゼンクランツ。

ローゼンクランツ
「シドニーめ、どういうつもりだ?


 《市街地西部・サンダルサ通り》

サマンサ
「ここから進めそうね。
…何があるの?

ギルデンスターン
「古代キルティア文字だ。
風化が進んでいて、読むことはできん。

「手がかりになりそう?

「さあ、どうかな。
ただ…

「ただ?

「ところどころ、特に深く壁に刻み込まれた文字があるんだ。

「ホントね…。
何を意味しているのかしら?

「ここにもある…。ここもだ。

「古代キルティア文字か…。
メレンカンプの時代ね。

「ああ、そうだ。
聖ヨクスが生まれるよりもはるか昔…
まだ"魔法"が日常的に使われていた時代の文字だ。
どうした?

「法王庁は邪悪な魔道士…メレンカンプの遺産、
すなわちグリモアを悪用されないように管理するのよね?

「…ああ、もちろんだ。
シドニーのようなサイコに、こんな危険なものを預けるわけにはいかんからな。

「シドニーは"グラン・グリモア"を手に入れたと思う?

「わからん。
だが、手に入れたとすれば、我々はこうして会話していられないだろうな。

「究極の魔法が記された魔道書の中の魔道書、
"グラン・グリモア"か。

「それはひとつの契約にすぎん。
しかし、その契約こそが世界の盟主たるゆえんとなる。

シドニー
「手に入れてどうする?

「シドニー……。

「貴様らこそが手に入れてはいけないシロモノだ。

「何を言うか!
長年、貴様と公爵が隠匿していたのは何のためだ。
その力を用いて人心を、いや、神をも支配しようとしているのではないのか!!

「やめてくれよ。
人の弱い心につけ込んで、民衆を支配するのは貴様ら教会の専売特許だろう。
いもしない神の"奇跡"をエサに人心を食いものにしているのは貴様らだ。
…いや、きみもその弱い人間のひとりか。
"信仰"という名の麻薬に冒された哀れな子羊なんだな、サマンサ。
だが、きみを救ってくれるはずの男はもっとも邪悪な悪魔の一人だぞ、サマンサ。

「黙れ!!

「もっとも優れた麻薬だからな、"愛"という名の信仰は。

「ガードしろ、サマンサ!!
付け入られるなッ!!

「ほう……。
さすが法王庁の代理人だけはある。
たいした精神力だ、ギルデンスターン。

「…"支配"は貴様だけの特権ではない!!

シドニーの背後にギルデンスターンの幻影。

「特権ではないと言ったはずだ。

シドニー去る。

「無駄だ。
先を急ぐぞ。

「くそッ!!

「逃げるがいい、シドニー。
どうせ貴様は我々のモノになるのだ。

アシュレイ
「グラン・グリモア……?」


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